蝶々夫人
このご時世の中、日生劇場にお運び下さいました皆様改めましてありがとうございました。
藤原歌劇団にとって、この蝶々夫人の演出は大切に大切に受け継がれてきた物です。
プッチーニの作品は音楽と芝居の要素が密接に関わり合っています。
(ベッリーニも、もはや演出家ですか?というくらい楽譜に全てが書き込まれていますけど、ベルカントとはやっぱり違いますね)
歌もですけど、芝居のテクニックや知識がまだまだ足りていない私にとって、歌うよりも芝居の側面が要求される「スズキ」はとてもハードルが高い役でした。
細やかな部分の動きまで決められていて、日頃使わない所作を自然にやる事の難しさに直面して、歴代、現役含めてこの役を持ち役になさっているメゾソプラノの皆様の凄みを改めて痛感しました。
日頃のちょっとした動作に対する美意識を、今後もう少し丁寧にしっかりと持っていこうとも思いました。考えてみれば、舞台人としては当然の事なのかもしれないです。
精神的な面で言えば、自分自身を掘り下げて弱さや至らなさと向き合い、自覚し認識してそんな自分を認めてありのままで舞台に立つ事の大切さを今までもこれからも学んでいかなければと思うし、どんな役を歌う時でも自分の癖や性質とその役のチューニングみたいな作業って絶対に必要になってくるけれど…。
スズキに関してはもう、真逆すぎてチューニングどころではなく笑
真逆ならば、人や物を俯瞰で観察してそう動けば良いとかと思っても、エゴや主観の強さが邪魔をしてなかなかそうも行かず…。
外に正解を求めれば、内側が付いて来ず。
終演後、耳と目の肥えた事務所の偉い方々や、演出の粟国淳さんから思ったよりは好印象なお言葉を頂戴出来たのが救いです。じゅんさんが「いや、良かったよ」と言って下さった一言にどんなに救われた事か!笑
とにかく、稽古初回から終演まで周りの皆様に支えて頂き通した一か月でした。
愚痴を言わないとか、相手を思いやるとか、日々の生活を丁寧に生きていくとか、こだわりを大切にするとか、当たり前の事をもう一度見直しつつ、再来月の高知では少しでもブラッシュアップしたスズキを演じられる様頑張ります。