オペラ歌手 丹呉由利子blog

メゾソプラノ 丹呉由利子のブログ

源氏物語 初日終演

清々しい晴天の中、日本オペラ協会本公演「源氏物語」がオーチャードホールにて初日を迎えました。

私は葵の上役で出演させて頂きました。

チケットはかなり前の段階で完売となり、当日券も無しという昨今の日本人キャストのオペラでは少し珍しく、そして有難い公演となりました。

ご来場下さいました皆様に心より御礼申します。

 

日本オペラ協会の本公演には、「紅天女」伊賀の局、「咲く」聡子に続いて3回目の出演となりました。

三木稔先生の描かれた音楽は理解し歌い込むのが非常に難易度が高く、音楽稽古が始まったのが12月という忙しいシーズンだったこともあり身体に落とし込むのに随分と時間がかかりました。

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源氏物語は高校時代に田辺聖子さんの訳で読んだのをきっかけに好きになりましたが、まさか自分がオペラ歌手として葵の上を演じることになるなんて想像もしていなかったのでお話を頂戴したときは本当に嬉しく思いました。

 

とはいえ、台本がアメリカ人のコリン・グレアムさんで物語に切り込む視点が日本人とは随分と違い、またあの長編を3時間に纏めている事も相まって当初は自分の思い描いていた源氏物語とのギャップに不安を覚えました。

きっと来て下さるお客様もそうなのだろうな、と。

 

けれど、立ち稽古初日に伺った演出家の岩田さんの作品の解釈の深さに疑念は消えて、この素晴らしい解釈を何としてもお客様にお届けしなくては!と気持ちが高揚したのを覚えています。

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プライドの高さ故に素直になれずに源氏とすれ違い続け、苦しみながら絶命する葵の上という女性の寂しさや切なさをお届け出来ていれば嬉しいです。

 

 

音楽面では本当に苦手とする部分の克服が課題となり、田中マエストラや副指揮の平野桂子さんにはそれこそ小屋入りしてからもギリギリまで様々なアドバイスを頂戴して頭が下がる思いでした。

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小屋入り直前になって角膜を傷つけ眼帯をしながらオケ合わせ→場当たりと参加させて頂きましたが、スタッフの皆様や共演者の方の暖かいフォローのおかげで、本番当日には奇跡的な回復で両目にコンタクトを装着して舞台に立つ事が出来て安堵すると共に、自己管理の大切さを改めて痛感致しました。

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たくさんの方に支えて頂いて無事に歌い終えることが出来て感謝と幸せな気持ちで満たされております。

 

悲しみのアリアから絶命するまでのシーン、楽しかったな♡

日本オペラの歌唱に随分と悩みましたが、本番当日になってようやく自分らしさを保ちつつ歌えて本当に良かった。

エストラ、ありがとうございました。

 

源氏役の岡くんとは紅天女に引き続き2回目の夫婦役。3回目もあるかな笑

素晴らしい源氏でした。おめでとうございます。

 

 

お名前の通り愛に溢れた郡愛子総監督はじめ、関わってくださいました全ての関係者の皆様ありがとうございました。

またお目にかかれますように。

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