オペラ歌手 丹呉由利子blog

メゾソプラノ 丹呉由利子のブログ

スーパーオペラ「紅天女」

昨夜、オーチャードホールにてスーパーオペラ「紅天女」の千穐楽が無事に終幕致しました。

ご来場下さいました皆様、本当にありがとうございました。

 

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この作品が、私の日本オペラデビューとなりました。

ここ数年、自身のコンサートなどで日本の歌を歌う機会が多くなりお客様からの反響も良くて、「やはり日本人なのだから母国語のオペラも勉強してみたいな」と思い始めていた矢先に目にしたのがこの「紅天女」のオーディションでした。

とにかく受けてみない事には何も始まらないと思い、オーディションは別の本番(偶然にも、タイトルロールの小林沙羅ちゃんと同じ現場でした)の期間と被っていましたが半ば無理やり受けに行きました。行って良かった、本当に。

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オペラを5日連続で公演する事は滅多にある事ではありません。新作の日本初演で、音楽も転換も非常に難しい部分も多かったですが、スタッフの方々もキャストも日を追う事に作品に馴染み、毎日成長を続けた作品でした。

 

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第二幕

伊賀の局(丹呉由利子)、楠木正儀(岡 昭宏)、楠木正勝(斎木智弥)

 

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第三幕

伊賀の局(丹呉由利子)、楠木正儀(岡 昭宏)、楠木正勝(斎木智弥)

 

美内先生の台本は、少女コミックの枠を超えた深いテーマが描かれていて、神や仏と言ったキーワードも頻繁に登場します。

 

そんな中で、私の演じた「伊賀の局」の楠木ファミリーは歴史上実在した人物たち。

紅天女が人間達への愛や怒りを壮大に歌う一方で、「伊賀の局」は人間の女性目線で夫や息子に対する愛情や、戦に送り出す心情を歌う素敵な役どころでした。

「行かないで、あなた」と始まるアリアは、本当に無駄のないシンプルでダイレクトな歌詞で、それ故の難しさがありましたが、戦乱の世を生きる女性の強さや悲しみを表現出来ればと思い大切に歌わせて頂きました。

☆☆☆

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作曲家 寺嶋民哉先生

1度聞いたら忘れられない、美しく印象的な音楽でした。2幕で伊賀の局が登場する前のシーンに流れる楠木のテーマ(?)を聴くと背筋が伸びて「伊賀の局」になれました。あの音楽の中に生きる事が出来て幸せでした。

 

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美内すずえ先生

どこか人間離れしている(褒め言葉)素晴らしい感性をお持ちで、だからこそあの作品を産み出されたのだと思います。読めば読むほどに考えさせられるとても深く、大切なテーマを持った台本でした。

 

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園田マエストロ、同役の長島由佳さん

 

誰よりも作品を理解し、誰よりも熱く冷静に導いて下さったマエストロ。まだまだ拙い私を導いて下さり、心より感謝しています。

 

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副指揮 鈴木恵理奈さん、一真 山本 康寛さん

ベルカントのイメージだったけど、日本語も素晴らしく上手だった山本君と…

キャスト全員から女神と呼ばれていた恵理奈さん♪

彼女がいなかったら、成功はあり得ませんでした。

気持ちが溢れてしまい、打ち上げで少し酔っ払って背中にくっついてしまいました…。困った様なお顔をしていらっしゃいました………。

 

 

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両チーム楠木ファミリー(息子が一人足りない?!)

とても心地よいファミリーでした。感謝。

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そして、もはや言葉はいらない。由佳ちゃん……♡

 

写真はありませんが演出の馬場さん。

私に幸せな時間を下さった郡愛子総監督。

 

関わって下さった全ての皆様に感謝致します。本当にありがとうございました。